予算規模で考えると、感情論はもういらない
結局、持ち家か賃貸かって経営企画にいる我々なら数字で決着つけたくないですか?で、結局これって採算取れるの?という質問に今回はDCF法で答えてみましょう。将来キャッシュフローを現在価値に割り引いて比較すれば、感情的な議論に終止符が打てるはずです。
最新データが示す住宅コストの実態
持ち家の方が約1,200万円ほど費用が抑えられる結果を示す2025年の相場試算が出ていますが、これは単純な生涯コスト比較です。しかし2026年の住宅環境は大きく変化しています。2025年12月18・19日の金融政策決定会合で政策金利を0.50%から0.75%に引き上げたことで、2026年4月に各銀行が基準金利を0.25%引き上げることが予想されています。一方で都市部では、2025〜2026年にかけても家賃上昇が続く見込みとされ、双方のコスト構造が変動している状況です。維持費については持ち家は一般的には年間20万〜30万円程度が目安とされており、これは業界平均として安定した数値といえます。
DCF法による真の採算性分析
DCF法は、不動産から得られる将来の収益を現在価値に割り引いて合計することで、その不動産の価値を算出する評価手法です。持ち家vs賃貸の場合、持ち家は「住宅取得費+維持費の現在価値」と「将来資産価値(ターミナルバリュー)」の差分、賃貸は「家賃・更新料等の現在価値の合計」で比較します。重要なのは割引率の設定で、通常3~5%くらいの設定がなされます。
持ち家の維持費は年間25万円として、これを3.5%で割り引くと現在価値は約714万円(30年間)。一方、賃貸の家賃を月12万円とすると、同条件で現在価値は約2,448万円。この差は約1,734万円にも達します。しかしここで重要なのがターミナルバリューです。4,000万円で購入した住宅が30年後に1,500万円で売却できれば、その現在価値は約535万円(3.5%割引)。結果、持ち家の実質負担は「4,000万円+714万円-535万円=4,179万円」となり、賃貸より約1,270万円有利になります。
金利上昇環境下での試算シナリオ
仮に住宅ローン金利が現行0.7%から2026年に1.2%まで上昇したとすれば、3,000万円の35年ローンで月額返済が約8.7万円から約9.4万円へ7,000円増加します。これを30年分の現在価値(3.5%割引)で計算すると約134万円の負担増です。一方、賃貸家賃が年3%ずつ上昇する場合、30年間の現在価値は約2,900万円となり、先ほどの2,448万円から452万円増加します。
つまり金利上昇・家賃上昇の双方を考慮しても、持ち家の優位性は「1,270万円-134万円+452万円=1,588万円」となり、むしろ拡大する計算です。これは家賃上昇率が住宅ローン金利上昇よりもインパクトが大きいためです。ただし、この試算は住宅価格が購入時の37.5%で売却できることが前提で、立地や建物状態により大きく変動する点に注意が必要です。
FP&A実務での活用ポイント
• DCF法による住宅選択分析では、割引率3-5%、家賃上昇率2-3%、住宅資産下落率年1-2%を標準仮定として設定し、感度分析で幅を持たせた評価を行う
• 維持費の現在価値計算において、持ち家は年25-30万円を定額、賃貸は更新料(家賃2ヶ月分を2年毎)を変動要素として織り込み、長期的なキャッシュフローインパクトを定量化する
• ターミナルバリューは立地・建物グレード・市場環境により購入価格の30-50%の幅で設定し、最悪ケース(20%)でも賃貸との損益分岐点を下回らない物件選定基準を構築する

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